学園恋愛ネット掲示板【キューピッド】〜女子校のススメ〜
私たちはその日に会うことになり、校長室前に設置された出会い届けに日付、名前、相手の名前を記入しキューピッド箱にいれた。
それが約束事だったから。
放課後、少し気合を入れてスカートをもう1つ折った。
唇にグロスも塗った。
少しでも可愛く見られたい。
顔をみて気に食わなかったらもう辞める。なんて、そんなのまことはしないだろう。
きっと、会ったら穏やかに微笑んでくれるだろう。
「いってきます!!」
心配そうに見守る美咲に敬礼をして教室から出て行った。
気分はまさに、これから戦争にでも行くんじゃないかってくらい気合が入ってる。
戦争行った事ないからわからないけど、つまり、わけも分からない例えを言いたいくらい、そんくらい緊張もしてる。
待ち合わせ場所の駅の改札付近で待ってると、男子校の制服を着た男の人が現れた。
ドキドキ。
あの人がまことかな?
髪は遠慮がちに染められていて、黒縁のおしゃれなメガネ。
腰までずらして履くズボン。
「……しおり?」
頬を染めながら私の名前を呼ぶ。
「まこと?」
「うん」
やっぱり、この人がまことだったんだ。
「ごめん、待った?」
「ううん。全然」
メールの内容が内容だったために、少し意識してしまう。
好きだって言ってくれるかな?
会ってみると嫌になった?
沈黙が不安を誘う。
「映画……見に行かない?」
「映画?」
「今週から面白そうなの始まったんだ」
まことはそういうと、手を繋いで歩き出した。
後ろから見えるまことの耳は真っ赤だった。