学園恋愛ネット掲示板【キューピッド】〜女子校のススメ〜
「なぁ〜莉緒?俺と莉緒の元彼ってさ、そんなに似てるわけ?」
人ごみの中、凌はゲームセンターに向かってどんどん進んでいく。
「似てないよ。全然似てない」
「そっか?似てるから間違えたんだろ?」
「髪だって、黒いし、ピアスなんてあけてもないし、もっと落ち着いてるし……、それに、もっと……」
「おいおいっ、それ、俺に対して失礼とか思わないわけ?って、え??」
再び振り向いた凌は私に駆け寄って、少し躊躇いながら頭を撫でた。
「なによ?」
「悪かった」
「なにがよ?」
「まだ、想ってたのに思い出させて」
彼の顔をしてそんなこと言わないでよ。
「全然平気だし、もう過去のことだもん」
「じゃあ、なんで泣いてんだよ」
「これは目に汗が入っただけだもん」
「器用に入ったんだな」
「私、天才なんだから」
「そんなの天才って言わねーよ」
本当はまだ思ってるよ。
いつかメールきて、またやり直せる日がくるんじゃないかって期待もしてるよ。
なんでもない振りしてるけど、本当はまだ、思い出すと涙が止まらないし。
「ほらほら、いつまでもないてないで、お兄ちゃんがUFOキャッチャーで莉緒の欲しいものとってやるから」
「……本当?」
「お兄ちゃんが今まで嘘ついたことあった?」
「初対面なんでわからない」
「……そうだね、僕たち初対面だったね」
ずっとメールしてたから初めて会った気がしねぇ〜って言いながら凌はまた前に進みだした。
今度は私の右手を掴んで進んでいく。
ごつごつした凌の手。
やっぱり彼とは違う。
顔は似てるけど全然違う。