その手に触れたくて
全身の力が一気に抜けた時、溢れる人集りであたしの身体は押され人集りから外れてしまった。
ガクッと肩を落とした時、
「ラッキー。今日ツナサンド、ゲットしちゃった」
と、明るい夏美の声が耳に入ってきた。
夏美は嬉しそうにサンドイッチともう一つのパンを持ち、こっちに近づいてくる。
「美月、メロンパンゲットした?」
近づいてきた夏美に首を振り、またまた肩をガクッとさせる。
「えっ!まじで?いつもあるじゃん」
「今日は…、無い…みたい。」
声まで暗くなったあたしに夏美はあたしの肩をポンと叩いた。
「まぁ、1日ぐらいいいじゃん。」
「ヤダよ…」
「ほら、このクリームパンあげるから。中にクリーム入ってるから一緒でしょ?」
「一緒じゃないよ…」
「ワガママ言うなぁー」
夏美はあたしの顔を覗き込みながらあたしの頬を軽く引っ張り、あたしの手にクリームパンを置く。