その手に触れたくて
「ほら、中庭行くよ」
「うん」
渋々、夏美の後をあたしは着いて行く。
「元気だしなよぉー、たかがメロンパンごときに拗ねてんじゃないよ」
「メロンパンはね、大事なんだから!!」
少し声を張り上げると夏美は、
「はいはい。また明日ゲットしましょー」
と、あっさり話を終わらせた。
あーあ、メロンパン食べたかったな…
それが唯一の楽しみなのになぁ…
「5時間目、サボろっかな」
「えっ?!」
ボソッと聞こえてきた夏美の声に、思わず俯いていた顔を上げ夏美を見た。
「なんで?」
「日本史イヤだから…」
「次、日本史なの?」
「うん。あの教師の時間寝れないんだよ」
「寝れないって…。日本史ばかりサボってちゃ単位なくなるよ?」
「まぁねぇ…。美月は次何?」
中庭に着いてすぐ夏美はそう言って開いているベンチに腰を下ろした。
「次はえい…、あっ!!」