その手に触れたくて

必然的に向けられたあたしの視線は後ろに移り、その瞬間、目で捕えた人物に身体が強張った。

堂々とした態度で、この空間に存在するには浮いている人物は隼人の彼女。


少し離れた所からでも分かるのは、そう…隼人の彼女の先輩。

ここの2年の教室の前に現れてるってのは、もちろん隼人に会いに来たんだろう。


先輩をいてもたってもいられないあたしは、思わず先輩から目を剃らし足元に向けられる。


バレたのかな…

だからあたしに会いに来たのかな…


嫌な妄想が膨らみかける中、視界がぼやけそうになる。


その視界がぼやけそうになる時に、あたしの視線にスッと入ってきたのは先輩の足。


だが、

その先輩の足はあたしの視線から一瞬にして消えた。

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