その手に触れたくて
見つめる先に直司との視線が絡まり合い、直司はうっすらと微笑んだ後、軽く手を上げた。
その行動に、あたしはうっすら微笑み返し視線を直司から逸らして黒板へと移す。
自分にでも分かる。
笑ったつもりなのに全然笑えて無い事くらい。
だから直司にもきっと不自然のあたしが分かるはず。
逸らしたのも直司と目線を合わせてられないから…
もしかしたら隼人が話してるのかも知んないって思ったら、どうしょうもない感情に襲われる。
「美月ちゃん、大丈夫?」
「えっ?」
4時間目が終わってすぐ、直司はあたしの席に近づき声を掛けるものの、その言葉の意味が分からないあたしは困惑した声を出す。
「ほら、休んでたじゃん?」
あー、そうだ。あたし休んでたんだ。
「あー…、うん。大丈夫」
「そっか、ならいいけど」
そう言って、直司が笑みを浮かべてすぐ、
「ナオ!!」
夏美の張り裂けた声が教室に響き渡った。