その手に触れたくて
見上げるあたしの後ろには隼人が居て、隼人はあたしに視線を向けた後、目の前の墓石に視線を移す。
な、なんでっ、なんで隼人が居るの?
どうして?
思う言葉はいっぱいあるのに、あたしの口からは思う様に声が出ない。
ただ見つめる先には隼人が居て、隼人は私服のズボンに両手を突っ込んだまま、墓石を見つめる。
その隼人を見ても経ってもいられないあたしは、すぐに隼人から視線を逸らして膝を抱え込んだまま墓石に視線を移した。
話す言葉が何もない。
何もないと言うかうまく出てこない。
少しの間、沈黙が続いた後、
「誰が眠ってんの?」
隼人の静かな声が辺りに響いた。