その手に触れたくて


――…運命って、残酷すぎる。




こうなる運命って残酷すぎる。

最後にはこうなるって分かっていながらも、隼人に好意を寄せる自分に惨めさをも感じる。


忘れたいのに忘れらんない。

触れたいのに触れられられない。

好きなのに好きって言えない。


もしくは―――…


言っちゃダメなんだ。





憂鬱な気持ちのまま夏休みに突入して、もう半分も過ぎた。

特に休み中、何かあった訳でもない。

何もない日を1日1日ダラダラと過ごしてただけだった。



でも、


「颯ちゃんちに行こうよ」


その夏美の一言で、また新たに何かが訪れようとしていた――…


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