その手に触れたくて
ソファーの横に置いてあるファッション雑誌を取りあたしはパラパラと捲っていく。
後ろの窓が開いている所為で後ろから生温い風邪が流れ込んでくる。
クーラーが付けてあるものの換気の為に開けられている窓の所為で、ちっとも涼しくなんてない。
むしろ暑い。
隣に座ってきた夏美と雑誌に載っている服の話をしたり、とにかく他愛もない会話をずっとしてた。
けど、そんなひと時はほんの少しの間だった。
ガチャっと開かれた扉に視線を送ると、一瞬にして身体が硬直するような衝動に襲われた。
一番先頭にして入って来る隼人に視線が止まった。
その後ろから直司と颯ちゃんとあっちゃんが入って来る。
つい隼人に視線を送っていると、一瞬だけ隼人と目が合ってしまった。
だけどあたしの目はスッと視線を逸らし、雑誌に目を向ける。
帰りたい。帰りたい…
あの日、隼人と話した日から一度も隼人と話していないって言うか会っていない。
それはあたしが避けていた所為でもあるけど、やっぱり会うとどうしていいのか分からない。
気分が重くなる…