その手に触れたくて
8
“じゃあ、約束して?明後日、あたしと一緒に居て?”
そう言って約束した、その当日。
玄関を出てすぐの所にある数段の階段に腰を下ろして何分か経つ。
鞄の中から携帯を取り出し液晶に浮き上がっている文字を見つめる。
13:26。
もう隼人を待ち続けて30分以上は経ってる。
“美月の家まで行く”
一昨日、別れる際で隼人はそう言った。
だけど隼人は一向に待っても来ない。
どうしたの、隼人。
何かあった?
もしかして行った?
色んな言葉が支配していく中、膝を抱えたまま顔を埋め、携帯を握り締める。
暫く経っても一向に来ない隼人に焦りだし、あたしは力いっぱいに握り締めていた携帯を開けた。
電話帳から、“は行”を呼び出し隼人の名前を画面に映し出す。
そのまま通話ボタンを押して数秒した後、コールが鳴り始める。
暫くそのコールを耳にしていると、
「美月!!」
何処からかともなく聞こえてきたその声にあたしは反射的に顔を上げ、辺りを見渡した。