その手に触れたくて
「…そっか」
安堵のため息を漏らし、小さく呟く。
暫く隼人が自転車を漕ぎ続けて、着いた先は1件の小さなお店。
和風チックで木材で作られた店は可愛らしいって感じのお店だった。
店のドアを開けた瞬間、中から香ばしいソースの香りが漂い鼻を掠める。
いらっしゃいませ。と言う店員さんの声が店内に響き、昼を過ぎても店の中は満室に近かった。
「そういや俺、明日、補習…」
4人掛けのテーブルに、あたしと隼人は真向かいになって座り、注文したお好み焼きを食べている途中、隼人はポツリと呟いた。
「えっ、補習?」
「あぁ」
「えっ、何で?」
「何でって、サボリまくったし、テスト受けてねぇから」
お好み焼きを頬張りながら隼人は苦笑い気味に言う。
その言葉に思わずあたしも笑みを零した。
「何の補習?」
「分かんねぇ…」
「えっ、分かんないの?」
「あぁ」
「あー…うん。けど何か隼人らしいね」
「何だ、それ…」
そう呟かれて、あたしは微かに口元に笑みを作る。