その手に触れたくて
「そう言えば、ママが言ってたなぁ。月を見るのが好きだって。だからあたしを美月にしたって」
「へー…いい名前じゃん」
「隼人は?」
「ん?」
「隼人は何で隼人なの?」
「さぁ、知らね。ってか、俺がいちいちそんな事聞いたら気持ち悪いだろ」
そう言ってくる隼人に思わず吹き出しそうなくらい可笑しくなった。
クスクス笑うあたしに隼人は、
「面白くねぇし」
と言って、あたしの頭を支えている手でそっと髪を撫でた。
そのままあたしは隼人に縋るように身体を横に向け、隼人の肩に顔を埋める。
隼人は両腕であたしの頭を囲むようにし、そのまま隼人もあたしの髪に顔を埋めた。
「…なんか俺、すげぇ幸せ」
頭上から落ちてくるのは隼人の吐息と優しい言葉。
「あたしも。…隼人、好きだよ?」
「俺も」
トクトクと聞こえるあたしの心臓の音と隼人の音が重なって聞こえる。
まるで一つになったかのように聞こえる。
「…美月?」
「ん?」
隼人の肩に埋めていた顔を上げ、隼人を見つめると、隼人はそのまま顔を下ろし、あたしの唇に自分の唇を重ね合わした。