その手に触れたくて

そっと触れ合うだけのキスをし、そのまま隼人は唇を離す。

あたしの身体を引き寄せるように隼人は自分の身体にくっ付け、暫くの間、夜空の星を眺めてた。


隼人の温もりが肌に染みる。

隼人の心音が身近に感じる。


初めて付き合ったのが隼人で良かった。

なんて事を、夜空一面に輝く星を見ながら、あたしは思ってた。


夏とは言え、山の上は時間が経つごとに肌寒さは増してくる。

少しだけ冷えた肌を両手で擦ると、


「帰ろっか」


擦るあたしを見て、隼人はあたしの肌を擦りながら、そう小さく呟いた。


でも、返事をする事も頷く事も出来なかった。


もっと隼人と一緒に居たい。まだ帰りたくない。と言う気持ちが沸き上がり、あたしは隼人から目線を逸らした。


おかしいのかも知れない。こんなに想う事が…

他の人はこんな気持ちになる事ってあるんだろうか…


だけどこれ以上、隼人を引き止める訳にはいかないと思った。

あまりのわがままをだして隼人に面倒くさいって思われたくないと思った。



だから――…


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