その手に触れたくて

あれからすぐにあたしは眠りに付き深い底に堕ちていた。

隼人の声を聞いたからって自分に言い聞かせて寝たからだろうか。


だけど朝、目が覚めたと当時に自分でもビックリするくらいに早起きしてた。

壁に視線を送ると、どうみても短い針が6を差していた。


6:8…


約3時間くらいしか寝ていないのに何故か目はパッチリと見開いていた。

当たり前に隼人はまだ寝ているだろう…と思いながら、あたしはベッドから身体を起し、リビングへと向かった。

リビングへと向かうと中から話し声が秘かに漏れてくる。


もう起きてんだ。と思いながらリビングの扉を開けると、案の定お兄ちゃんとママが会話をしていた。


「美月、おはよ」


あたしに気づいたママは笑顔で振り向いてくれる。


「おはよ」

「今日早いね」

「うん。目が覚めちゃった」


あたしは冷蔵庫に向かい、中からペットボトルに入った水を取り出し、椅子に腰かける。


「お兄ちゃん、おはよ」

「…はよ」


そう言ったお兄ちゃんはタバコを口に咥えたままテレビに視線を送っている。

< 178 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop