その手に触れたくて
「美味し〜」
「良かったな」
隼人はあたしを見ながらクスクスと笑い、ストローが刺さった紙パックのカフェオレを差し出してきた。
そのカフェオレを有り難く受け取り、口に含んだと同時に隣から小さな舌打ちが聞こえた。
ふと気になったあたしは隣に居る隼人に視線を向けると、隼人は空になったタバコの箱をクシャリと握り締めていた。
「おい、直司」
隼人は床に座って話し込んでいる直司に声を掛ける。
その隼人の声に気付いた直司が、
「あ?」
と言って、あたし達の方へ振り返った。
「タバコくれ」
隼人は空になったタバコの箱を見せながら、直司に言う。
直司はズボンからタバコの箱を取出しながら、立ち上がり隼人に差し出した。
「サンキュ」
隼人は直司から貰ったタバコに火を点ける。
「つーか、何でお前ら2人で仲良くなってんの?」
そう、あまりにも突然の直司の言葉に思わずあたしは何も言えなくなってしまった。
けど…
「付き合ってっから」
そう、あっさりと言った隼人にあたしの顔はきっと赤くなったに違いない。
恥ずかしいと言うよりも隼人の口から簡単にそう言った事にドキドキしてしまった。