その手に触れたくて

一旦躊躇った。

先輩に着いて行く事を…


でもあたしが足を進めなかったら、先輩はここで…この数人の生徒達が居る前で本題をぶつけて来ると思った。

さすがにそれは嫌。

何言われるかなんとなく想像がつくから絶対に嫌。


だから仕方なくあたしは先輩に向けて足を進ませていた。

もしかしたら、いつかはこんな日が来るんじゃないかって思ってたのかも知れない。


夏美からも先輩の事はよく聞いてたし、あたしにも絶対何か言われるって思ってたのかも知れない…


別れてって言われるのかも知れないって――…


目の前の先輩が足を止めたのは全く人気は少ない第2校舎の裏。

先輩は着くなり、ポケットからタバコを取り出し火を点けた。


吸ってないあたしにだって分かった…

そのタバコの匂いで分かった。隼人と一緒のタバコだって…隼人と一緒の銘柄だって。


ジワジワと匂いが舞うのは全く隼人と一緒のSevenStarの匂いだった――…


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