その手に触れたくて
いくら探してもやっぱり見つからなかったあたしは、急いで自分の部屋へと駆け上がった。
自分の部屋に入ってすぐ、机のあらゆる引き出しを開けて中を探る。
もしかしたら絆創膏1枚くらいはあるかも知れない。
ポツンと取り残されたようにあるかもしれない。しれないと言うかあって欲しい。
ガサガサ探る音だけが耳に響く。
ノートを取り出してパラパラとする。机に入っている物を全て取り出す。
探して探して何回同じ所を探したのかも分からないくらい探した。
探した。探したんだけどやっぱり無かった。
大袈裟だけど、そんな絆創膏1枚が無かっただけで絶望感に襲われた気がした。
またまた運が悪く夏服なのがイライラする。今が冬だったら、こんな焦る程でもないのかも知れない。
冬だったら服で隠してくれるのに…
“まぁいっか”
なんて言葉では済まされない。
済まされない状況まであたしはこの傷痕に追い詰められている気がした。