その手に触れたくて
家に帰ってすぐリビングへ向かう。
未だにソファーに寝転がっているお兄ちゃんはテレビに視線を向けていた。
そのお兄ちゃんの寝転がっている足元の位置にあたしは腰を下ろした。
買ってきたばかりのポテチの袋を開け、お兄ちゃんが点けているニュース番組を見ながらポテチを頬張った。
暫くの間、テレビを見ながらポテチを食べる。特にお腹が減っている訳でもないのに何故か何かをしていないと落ち着かない所為か手がポテチに伸びて行く。
食べ続けていると突然、静まり返った部屋に電話が鳴った。携帯じゃなくて家の電話。
鳴っているのにも関わらずお兄ちゃんは出る気配もなければ動こうと言う気もない。
「電話なってる」
そう言ったあたしにお兄ちゃんはあたしに視線を送った後、顎で電話機を指した。
出ろって事なんだろうか…お兄ちゃんは足であたしを突いてきた。
そんな行動に思わずため息が漏れ、あたしは重い腰を上げて立ち上がった。
「…はい」
『あ、美月?ママだけど』
「あーママ?どうしたの?」
『何回も携帯に掛けたんだよ?メールも入れたのに』
電話口から洩れてくるママの声は少し呆れた様な声だった。