その手に触れたくて

あたしは後少しのメロンパンを口の中に詰め込み、最後にカフェオレで流し込んだ。


「さて、行くか」


隼人がタバコを消して立ち上がった時、「ねぇ!!」と夏美は隼人を見上げて声を出す。


「あ?」

「隼人、日本史の授業でんの?」

「あぁ」

「じゃあ、あたしも出よっと」


夏美は立ち上がってスカートをパンパンと叩く。

昼休みが始まった時は、あんなに嫌々言ってたのに隼人の言葉にあっさり受け答えた夏美にあたしは唖然としてしまった。


「夏美のその変わり様は何?」


そう言いながら立ち上がるあたしに夏美はフッと笑う。


「あたし隼人の後ろの席なんだけどさ、隼人が授業出てる時は、あたし怒られないんだ」


そう言って夏美はクスクス笑う。


「何それ?」

「まぁ要するに、隼人の態度が悪すぎて先生の目があたしには届かないって事だよ」

「ふーん…」


なんかよく分かんないけど、あたしは小さく声を漏らすと直司はクスクス笑って立ち上がり、ドアに向かって足を進める。


その後をあたしと夏美は着いて行った。


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