その手に触れたくて
丁度あたしが家に帰ってから1時間後くらいから隼人から掛かってた。
10分おきか15分おきに掛かってきている隼人の電話。
その着信を見てあたしは慌てて隼人に電話をした。
プルル――…と、コールが鳴ってすぐ、“美月?”と低い隼人の声が通話口から聞こえる。
1コールが鳴ってすぐ出た隼人は待ち構えてたんだってくらいに早く、その隼人の声が余りにも暗く怒ってるんじゃないかと思ったあたしは慌てて口を開いた。
「ごめん、隼人!!携帯部屋に置いたままだった」
「あー…そっか。ならいいけど。…大丈夫か?」
「…え?」
一瞬、何の事を言ってるのかさっぱり分からなかった。
何も言わずに帰った事に“大丈夫”と言うんだろか…
に、しても可笑しい。言葉に詰まらせるあたしに、
「気分わりぃんだろ?」
隼人の心配そうな声があたしの耳に届いた。
「…気、分…?」
「あぁ。帰るっつーから」
そう言われて、“あー…そっち?”なんて思ったあたしは想定予想外だった。
あたしが帰った事に隼人にそう思わせていた事になんだか申し訳なくなった。
だけど、今更“違うよ?”なんて言えなくて、