その手に触れたくて
11

あの日からあたしは一人になるって事を恐れてたし、怖くなってた。

また一人になったら先輩が現れるんじゃないかって思ったし、何かをされる事、自体が凄く恐かった。


だから、あたしは常に誰かと一緒にいた。

ほとんどは夏美と一緒だった。だけど昼休みだけ何故か当たり前の様に隼人と一緒にご飯を食べ、隼人と一緒に行動する日々が続いてた。

だけどその毎日一緒に居る事があたしのミスだった。


10月後半。すっかり夏服から冬服になり、あたしはそれだけで救いだった。

その救いと言うのは手首の事。

今までバレないようにと絆創膏を貼り続けてた。夏美には“まだ治らないの?”って聞かれるし、もちろん隼人にも聞かれてた。

当たり前に治ってたけど、あたしはその跡を隠すためにずっと絆創膏を貼ってただけ。


でも冬服になり手首がすっぽりシャツで隠れる事をいい事に、絆創膏を貼るのが面倒になったあたしは冬服を機に貼らなくなった。


でも、それがあたしの犯した過ちだった――…


< 225 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop