その手に触れたくて
「…俺も」
その隼人の言葉を聞いてすぐあたしは隼人の胸で目を閉じてた。
いつ頃眠りについていたのか、どれくらい眠りについていたのかなんて分からなかった。
目が覚めると辺りは真っ暗になっていて、隣からは未だにあたしを抱き締めている隼人の寝息が聞こえてた。
あまりの外の暗さに何時か分かんないあたしは、
「…隼人?」
隼人の耳元でそう呟き右手で隼人の身体を少し揺すった。
「…ん…」
揺すりに気付いたのか、隼人は眠そうな小さな声を漏らし抱き締めていた手の力を緩める。
「隼人。外暗い。今何時?」
隼人はモゾモゾ動き、左手でズボンのポケットから何かを取り出した。
パカッと開けられてあたし達のまん前が明るくなったと同時に隼人はその明るさに顔を顰める。
「…20時18分」
そう言って隼人はパチンと携帯を閉じ、携帯を握り締めたまま、あたしの背中に腕を回した。
「もう帰らねぇとな…」
そう隼人が言った言葉に、何だか無性に淋しくなった。