その手に触れたくて
あたしの腰に腕を回している隼人の胸に顔をくっ付ける。そしてあたしの右腕は隼人の腰へと回る。
「もう少しだけ隼人と居たい」
そう言ってあたしは隼人の腰に回している腕の力を強めた。
「俺も美月と居たい」
「じゃあ、ここに居る」
「うん。いいよって言いたいところだけど美月の親に心配かけたくねぇから帰れ」
シュン…とするあたしは思わず言葉を失う。そんなあたしに気付いたのか隼人はあたしの後頭部をゆっくり撫でながら、
「明日も明後日も会えんだろ?ちゃんと明日学校来いよ。美月の好きなメロンパン買ってやる」
そう言った隼人にコクンと頷いた。
暫く隼人の体温を身に染みながらあたしは温もりを感じてた。
でも時間は止まってくれなくて21時を過ぎたと同時に、あたしは隼人にバイクで送ってもらった。
家に帰ると“おかえり”って機嫌よくママは迎えてくれた。そのママの笑みだけであたしは凄くホッとする。
あれだけ隼人と一緒に仮眠をとったのにも関わらず、なんだか無性にまだ眠くて、あたしはすぐにお風呂に入って目を閉じていた。