その手に触れたくて
12
「隼人、何してんだろうね…」
次の日の昼休み、あたしの隣に座る夏美はツナサンドを頬張りながら呆れたように呟いた。
あたしの隣には夏美が居る。いつもあたしの隣は隼人なのに今日は夏美。
1時間目が終了とともに夏美があたしの所に来て“隼人来てない”って言った。
それから電話をしても隼人とは一向に繋がる事はなく、昼休みに入ってすぐにも掛けたけど隼人は出なかった。
メロンパン買ってやるって隼人…言ったのに。
隼人何してんの?
仕方なく自分で買ったメロンパンを少しずつ食べながら、あたしは隼人の事ばかり考えてた。
あっちゃんと直司は来てたけど、どっちも隼人の事は知らないって言ってた。
昨日、隼人がちゃんと学校来いよって言ったのに自分が来てないじゃん…。
隼人が来ていない事に無性に何だか苛々し始めて、あたしの頭に浮かんだのはたった一人の存在だった。
「先輩かな…」
ポツンと呟くあたしに隣に座っている夏美は目線をあたしに向ける。