その手に触れたくて

「なんでそれを相沢さんが知ってんの?」


長年いる夏美じゃなくて何で相沢さんが…


「ほら、相沢さん隼人の友達の剛くんと付き合ってたじゃん。だからそう言う話し知ってるみたい」

「そうなんだ…」

Γそれにさ、あの女、初めは違う高校だったらしいよ。隼人の事を追っかけてきたみたいな事、相沢さん言ってたよ」

Γ……」


その夏美の返事に何も返す事が出来なかった…と言うよりも返す言葉が何も見つからなかった。


そんなに…そんなに隼人の事、好きだったんだ…。

なんかそう思うと余計に胸が苦しくなりはじめた。


「まっ、でももういいじゃん。とっとと消えてくれてあたしは嬉しいよ」

「夏美っ…」

「だってそうじゃん。美月は嬉しくないの?あんな事されたんだよ?美月の腕の跡もう消えないんだよ?あたしだったら許せない。そこまでする必要ないじゃん!!ね、美月だってそう思うでしょ?」

「うん…」


勢いよく突っかかって言ってくる夏美の言葉は正論だった。

もう、あたしの腕の跡は消えることはない。それを思うと無性に悔しくて悔しくて、目尻が熱くなってきた。


だけど、何で隼人は今ここに居ないの?

何してんの?隼人…


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