その手に触れたくて
Γねぇ、みづ――…」
不意に背後から聞こえた明るい夏美の声。
だけど、その声はあたしの名前を呼ぶ途中でプッツリと途切れた。
その声に反応したあたしは、ゆっくりと視線を後ろに向けると、夏美はあたしじゃなく、あたしの後ろを見てた。
夏美が誰を見てるのかは分かる。夏美はあたしの後ろに居る隼人を見てる。
夏美は一瞬、驚いた顔をしたけどその夏美の表情がだんだんと曇っていくのが分かった。
何か嫌な予感…そう思ったのも束の間だった――…
Γちょっと、はや――…」
Γ夏美!!」
案の定、夏美の張り裂けんだ声が廊下に響き、それと同時にあたしは夏美の声を遮る様に声を上げた。
近づいてくる夏美はあたしの声に驚いたのか、すぐに口を紡ぎあたしに視線を向けた。
Γ何?美月…」
そう言った夏美は、あたしが遮った事が気に食わないのか不満げにあたしの名前を呼ぶ。
そんな夏美に、何も言わなくていいって言う意味も含めて、あたしはゆっくりと首を左右に振った。
だけど、