その手に触れたくて
そんな夏美の姿に思わずあたしの顔からも笑みが零れる。
「授業始まるぞー」
不意に聞こえた教師の声に夏美は、「はーい。」と返す。
「じゃあ、またね」
夏美に手を振ると、夏美もヒラヒラ手を振り、あたしは急いで自分の教室に入った。
中に入ると案の定、直司は寝る態勢に入ってて顔を伏せている。
その姿を見て思わず苦笑いをした。
教科書、貸してもらった意味ないじゃん。
でも、まさか夏美が教科書を貸した人達と仲が良かったなんて知らなかったよ。
あれ?仲がいいのかな…
今まで一度も話してる所、見た事なかったし、高1の時だって男達と話してる所なんて見た事なかったしな…
ボーっとしてて暫く経った後、スカートのポケットに入れていた携帯が震え始めた。
携帯をポケットから取り出し机の下で開けたと同時に震えは止まり、画面にはメールの文字が映し出されてた。
送ってきた相手は夏美からで、あたしはその内容を確認する。
【今日、夜あいてる?】
そう書かれてあったメールの内容に"うん"って返事を夏美に送信した。