その手に触れたくて
暫くお互い無言の状態が続くと、隼人はポケットからタバコの箱を取り出して前屈みになった状態で火を点けた。
Γ…え?」
ポツリと出たあたしの小さな呟きは、隼人がタバコに火を点けてから、そう時間は掛かっていなかった。
Γどした?」
案の定、あたしの呟きに隼人は口からタバコを離し前屈みになったまま視線だけをあたしに向ける。
あたしが間違える訳がなかった。あたしが隼人の吸っているタバコの匂いに…
隼人が見つめてくる視線を避けて、あたしは隼人の手元をジッと見つめた。
右手の指に挟まれている“それ”は今までとは違う物だった。
Γ美月?」
ジッと見つめているあたしの事を不思議に思った隼人は少しだけ身体を起こし、タバコを口へと運ぶ。
何回見ても何回見ても、あたしの目は間違っていなかった。
隼人がくわえてくるタバコの銘柄がSevenStarじゃなくなってた。
何でだろう…2日前は確かに隼人はSevenStarだった。なのに、何で急に変えたの?そんな簡単に変えられる物なの?
Γ…隼人、タバコ変えたの?」
そう言ったあたしはタバコから隼人に目線を向け、もう一度タバコに視線を向けた。