その手に触れたくて

Γ…うん」

Γつか、もうこの話は終わり。俺も、美月にとっても気分悪りぃし」


隼人は話を切り上げた後、あたしの手を掴んで立ち上がり引っ張った。

隼人が引っ張った所為で必然的に立ち上がるあたしは、そのまま隼人に連れられて足を進めて行く。


隼人の思うがままに着いて行くと、そこは下駄箱だった。


Γえ?隼人?」


訳が分からないまま隼人を見上げると、


Γ履き替えろよ」


そう言って隼人とは自分の下駄箱へと向かう。


Γえ、何で?何処行くの?」


反対側の下駄箱に向かった隼人に、あたしは声を投げ掛ける。


Γ帰る」


素っ気なく平然として返ってきた隼人の言葉に、思わず焦ってしまった。


Γえっ、ちょ、か、帰るって…何で?ってか鞄、教室だよ?」

Γ知ってる。そんなもん必要ねぇだろ」

Γいや…でも…」

Γあ?何?もしかして携帯、鞄の中とか?」

Γえ、いや…携帯はここだけど」


そう呟きながらあたしは自分のスカートのポケットをポンポンと軽く叩いた。


< 265 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop