その手に触れたくて

Γ患者さんのお名前をお願いします」


そう看護師さんの声が聞こえた途端、あたしはそっちに目を向けると隼人はストレッチャーの上で寝て毛布をかけられていた。


お名前は?なんて言われて、お兄ちゃんも悠真さんも知るわけないじゃん。って思ったあたしはそれを伝えようと立ち上がった時、


Γ…橘…隼人」


看護師さんの前に居るお兄ちゃんが小さく呟いた。

それを聞いた途端、あたしは見知らぬままに目を見開いていた。


どうして、お兄ちゃんが隼人の名前を知ってんの?

何で?どうして?


Γ生年月日は?」

Γいや…そこまで知んねぇけど17歳」


看護師さんの言葉に吐き出していくお兄ちゃんに思わず言葉を失った。


治療をする為、治療室へと入って行った隼人を見送った後、あたしはまたソファーへと腰を下ろした。

何処に視点を合わせていいのかも分からないくらいに目の前がグラグラと揺れる。

なんか…あたしまで倒れそう…


Γ美月ちゃん!!」


身体が大きく揺れたかと思うと凛さんが声を上げてあたしの身体を大きく揺さ振ってた。



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