その手に触れたくて
中からは音楽が聞こえ、その男達はあたしの学校とは違う制服を着ていた。
ほぼ派手なグループと言ったいいのだろうか…
見た目だけでも"悪"って言葉が似合いそうな人達。
「おー、夏美じゃん」
「お前カナリ久しぶりじゃね?」
男達の声が飛びかう中、夏美はその場で靴を脱ぎ中に入る。
「美月もおいで」
呆然と立ち尽くしているあたしに夏美は手招きをする。
「あ、うん…」
戸惑いながら呟き、中に入るとテーブルの上にある灰皿からは溢れるくらいの吸殻があり、ペットボトル、ビールの缶、雑誌が床とテーブルに無造作に置かれてた。
で、入って思った。
息苦しい…
窓は全開じゃなく少し開いているけど、タバコの臭いが部屋に充満している。
あまり慣れていないこの空気にむせ返りそうになった。
夏美も吸うけど、夏美の部屋以上に煙が立ち込めている…
「夏美の裏の子、誰?」
不意に聞こえてきた誰かの声に男達の視線が一気にあたしに突き刺さった。