その手に触れたくて
Γどうしたの?」
少し遠くの方から聞こえる相沢さんの声。
Γえっと…ちょっと待って」
そう言ってすぐ、
Γ相沢さん居たよ?変わろうか?」
夏美はあたしにそう言った。
Γいや…今、話すとちよっと長くなるんだよね。だから明日なんだけどって言うか相沢さんにいいか聞いてみてほしい」
Γあー…うん分かった」
戸惑い気味に話すあたしに夏美はそう言って相沢さんに何かを話し始めた。
相沢さんなら何か知ってるかもしれない。前、剛くんと付き合ってたから少しの情報なら掴めるかもしれない。
以前夏美が言ってたし。あの女の先輩の時、色々知ってたのは相沢さんだし…だからその相沢さんなら勿論隼人の事も知ってると思った。
Γあ、美月?」
不意に聞こえた夏美の声に、あたしは離れかけていた携帯を耳に強く押しあてた。
Γあ、うん…」
Γいいよってさ。美月、明日学校来るの?」
Γえ、あ…行かないって言うか行けない」
Γえ?行けないって?」
Γうん。制服ないんだよね」
Γへ?」
あたしの言葉に混乱したのか夏美はすっとぼけた声を出す。
Γそれはまた話すから」
Γあぁ。うん…じゃあちょっと相沢さんと話してからまた掛けるわ」
Γうん」
夏美と電話を切った後、あたしは携帯を床にポトンと落とし、また布団に潜り込んだ。