その手に触れたくて

「美月って言うの」


夏美があたしの肩を軽くポンっと叩いて言う。


「へぇー、可愛いじゃん」

「よろしくぅー」


所々から聞こえるその声にあたしは軽く会釈する。


「ねぇ、誰?あの人達」


夏美の耳元であたしは小さく呟くと夏美は少しあたしの方に顔を寄せた。


「同中の人達」

「ふーん…」


あたしは小さく何度か頷く。


「夏美、何か飲む?」


不意に聞こえた声に目を向けると、横から颯ちゃんがヒョイと現れた。


「オレンジ!!」

「美月ちゃんもオレンジでいい?」


速攻答えた夏美の後に颯ちゃんがあたしに目を向け、あたしはコクンと頷いた。


「オッケー」


そう言って、颯ちゃんは角にある小さな冷蔵庫まで行き冷蔵庫を開ける。

薄い茶色の髪もサラサラしてて、怖いと優しそうって言えば優しい顔。

雰囲気で言えば、颯ちゃんとあっちゃんが優しい系。直司と隼人が怖い系って感じだ。


見た目はそうだけど、中身は分かんない。

怖いと思っていた直司が以外にも話すとそうじゃない。

だからそのギャップに結構ビックリしたから…


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