その手に触れたくて

Γ…ヤバイって何が?」


何か嫌な予感がしてきたあたしは戸惑い気味に相沢さんにそう語り掛けた。


Γえっと…」


そこまで口を開いた相沢さんは視線を下に落とし、首を傾げたまま一旦目を閉じて少しの沈黙後、深く息を吐き出し言葉を続けた。


Γ昨日…もしかして何かあった?夏美ちゃんから隼人が入院してるって事だけは聞いたんだけど」


ゆっくり視線をあたしに向けてきた相沢さんにコクンと頷き、あたしはミルクティーのカップを口へと運んだ。

一口飲んだミルクティーの香りが口の中へ広がり、少しだけ身体が温まった気がした。


Γ何があったの?!隼人が入院してるのって響さんなの?!」


勢い良く突っ掛かってくる相沢さんに急いであたしは首を振った。


Γ違うよ。隼人が入院してるのはお兄ちゃんの所為じゃないよ」

Γじゃあ、何?」


そう聞いてきた相沢さんにあたしはある程度、相沢さんに話した。

あたしの所為で隼人が殴られ続けたのも、たまたま通り掛かったお兄ちゃんに助けてもらって病院に行った事も…


でもその話をしてる時から相沢さんの表情は全くよくなくてただただ黙ってあたしの話をずっと聞いていた。


Γ…で、お兄ちゃんの機嫌がカナリ悪くて…」


そこまで話したあたしは一旦言葉を止めて軽く息を吐き捨てた後、


Γ…別れろって…」


そうあたしは小さく呟いた。


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