その手に触れたくて

Γお兄ちゃん!!」


不機嫌な声で叫ぶと、お兄ちゃんは手に持っていたビールを口元で止め、あたしを見た。


Γ何か用か?」


お兄ちゃんは素っ気なく返し、止めていた手を動かしビールを飲むその態度がむかつく。

素知らぬ顔をし、何もなかったかの様にするお兄ちゃんにイラつく。


Γ何で隼人に会いに行ったの?何で隼人にあんな事、言うの?!」


あたしがそう叫んだのにも関わらず、お兄ちゃんは黙ったままタバコをくわえ、それに火を点けた。


Γねぇ!!聞いてんの?何で隼人に会いに行ったの!!何で隼人にあんな事言うのよ!!」


再度叫ぶあたしにお兄ちゃんは眉間にシワを寄せ、くわえていたタバコを口から離す。


Γ会いたくて会いに行ったんじゃねぇよ。俺の本心を伝えただけだ」


そう、タバコを灰皿にトントン当てながら先端にくっついていた灰を落とし再び口にくわえた。


Γだからって、その意味が分かんない!!昨日も言ったけど、それはお兄ちゃんが決める事じゃないじゃん!!」

Γお前…まだ分かってねぇのか?」


叫ぶあたしにお兄ちゃんは顔を顰め、タバコをくわえたまま、そう呟いた。そして口からタバコを離し吐き出していく煙とともに再度口を開いた。


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