その手に触れたくて
Γお前…そんな自信ありげな言葉どっからでてくんだ?もし今、お前に何かあったら誰が助けんだ?アイツか?あの身体でどーやってお前を守るんだよ…。馬鹿みたいに、ほざいてんじゃねぇよ」
Γ……」
Γ…人間なんて自分が思ってるほど上手くできてねぇよ」
そう言ったお兄ちゃんは一瞬、顔を顰め軽く身体を右に傾けポケットから携帯を取り出した。
取り出した携帯はレインボーにチカチカと彩らせ、その知らせが誰かから掛かってきたんだと実感した。
タバコをくわえていたお兄ちゃんは口から離し、それを灰皿に押しつぶす。そして掛かってきた相手と話すお兄ちゃんをあたしはただただぼんやりと見ていた。
内容なんて分かんなかったけど、ただお兄ちゃんが不機嫌な声で誰かと話してた。
時たま思う事が今でもある。
よく怒るお兄ちゃん…なんで美優さんはこんな人を好きになったんだろうって…
でも…あの時、隼人を助けてくれたのはお兄ちゃんだった。もし、あの時お兄ちゃんがたまたま通りかからなかったら、今頃もっと隼人は重症だったと思う。
いや…重症では済まなかったかも知れない。だから、それだけはお兄ちゃんに感謝したいけど…
したいけど…