その手に触れたくて

身体が疲れ果てるのも重く感じるのも全て考え事からきてるんだろうと思う。


“…――ねぇ、あたしと別れる事、考えてんの?――…”

“分かんねぇ…”


あたしの頭の中を支配するように流れて行く隼人の言葉があまりにも胸を傷めつける。

考え過ぎて考え過ぎて、行動さえ起こす気力がないあたしは、ずっとベッドに横たわってた。

少し寝ては目を覚まし、そして色んな事を考える。頭ん中がおかしくなったんじゃないかと思うくらい嫌な方へと嫌な方向へと応えを導き出してくる。

“別れよ”って隼人の口からそう言われるのが怖かった。

だから、あたしは隼人の居る病院にも行けなかった。病院の前で立ち、その病院を見上げてはすぐに帰ってた。


逢いたい気持ちは沸き上がってくるのに心の中で不安が入り混じっていて、足さえも前へと進まなかった。


とりあえず制服を取りに行ったけど、それを身に付ける気力さえもなくなってた。ザワザワする所も人集りも全て嫌になってた。


まさに無気力だった。



そんな日がずっと続き、気付けば1週間も経ってた。その間、何度か夏美から電話があった。

だけどあたしは話す事さえ面倒になり携帯を耳に当てる事すら出来なかった。


だから夏美は何度もメールを入れてた。一応、目を通すだけ目を通した。


“大丈夫?”とか“学校、来ないの?”とかそんな内容だった。


でも、あたしはそのメールさえも返せなかった。


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