その手に触れたくて

Γ美月…学校行ってねぇんだって?」

Γ……」

Γ直司から聞いた」


そう呟いた隼人は自分が座っている隣をポンポンと軽く叩く。

その隼人の手に視線を送っていると、


Γ美月…」


小さな隼人の声とともにあたしの足は動き、ゆっくりと隼人の隣に腰を下ろしてた。

座ったあたしを隼人は両腕で強く抱き締める。その密着した隼人の身体があまりにも温かくて、あたしの目から不意に涙が零れ落ちてた。


Γ美月…ごめん」


何に対しての“ごめん”なのかは分からなかったけど隼人はそう小さく呟いてあたしの肩に顔を埋めた。


Γ俺…」


そう小さく呟いた隼人は一旦言葉を止めて軽く息を吐き捨て、少しの沈黙の後、再び口を開いた。


Γぶっちゃけ美月の兄ちゃんがあの人だって聞いた時、もう美月と別れよって思ってた」

Γ……」


そう言ってきた隼人にあたしは身震いが起こった。だけどそれに気付いた隼人は、あたしの身体をギュッと抱き締め直しあたしの頭をそっと軽く撫でた。


Γ俺と美月の兄ちゃんの関係って誰かに聞いた?」


隼人の胸に顔を埋めながらコクンと頷くと、隼人はΓそっか…」と言って軽く息を吐く。


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