その手に触れたくて
Γやっぱ、ちゃんと言わねぇと…」
Γだ、だからなんでよ?」
Γあんな事、言われて美月と付き合えねぇ」
Γえ、だから…ちょ、…待ってよ。あんな事言われたからってお兄ちゃんに言う必要なんてないよ。お兄ちゃんなんてほっとけばいい。だってこれはあたしと隼人の問題でしょ?それに、そんな事言わなくても黙ってればいい事じゃん」
声を上げて必死で伝えるあたしに隼人はさっきよりも顔を顰める。視線を下に落とし、軽く何度か頭を擦る。
その行動が本当に悩んでるようで、
Γね、そうでしょ…隼人?隠してればいいよ」
あたしは隼人を説得してた。だけど隼人は視線を下に落としたまま首を傾げ小さく息を吐き捨てる。
Γ俺さ…、隠してまで美月と付き合いたくねぇし」
Γで、でも…隼人だって分かるでしょ?あのお兄ちゃんだよ?そんな事、言ったら隼人が殴られちゃう!!」
いつの間にかあたしは隼人の両腕を掴んでいて、軽く隼人の身体を揺すりながら、あたしは必死で問い掛けてた。
Γね、だからこのままでいいよ。言わなくて――…」
何がなんでも言っちゃダメだと思ったあたしは一人で言葉を続けてた。だけどあたしが焦って問い掛けてる言葉を、
Γ美月…」
隼人の呼ぶあたしの名前と隼人の身体を揺さ振るあたしの手を隼人が阻止した。