その手に触れたくて
Γ痛い?」
そっと触れる隼人の顔にあたしは呟く。あの時からは大分、落ち着いたけどまだまだそう簡単には治りそうにない肌。
Γ痛くねぇし」
そう素っ気なく返した隼人にまたあたしは申し訳なく感じる。
隼人の嘘つき…
痛いくせに…
申し訳なく感じるのも全てはあたしが導きだした結果が今、隼人に深く刻まれている。
あたしが飲み物なんて言うから…あたしがお兄ちゃんなんかに助けを呼ぶから…
そう思うのも何度目になるんだろう。自分の犯した罪がこうやって自分じゃなく相手に出来るって事がどれほどの自分の罪と負担を抱えるんだろうと思うと、何だか悔しくて悔しくて仕方がなかった。
Γ…ごめん…隼人…」
隼人の顔に触れていた手を徐々に下に下ろし、隼人の手にそっと触れる。
あの時とは比べ物にならないくらいの体温があたしに伝わり、それだけであたしは安心できた。
唇を噛みしめ、俯くあたしは今にでも目から涙が零れてきそうだった。
Γ美月…」
隼人はあたしの顔を覗き込み、そっと言葉を掛ける。隼人の覗き込んできた顔を避け、あたしは隼人の胸に頭をくっつけた。
隼人はそれを受け答えるかの様にそっとあたしの後頭部に手を添え、
Γ美月は悪くねぇよ。だから謝んなって…」
そう…隼人の優しい声が頭上から落ちてきた。