その手に触れたくて

Γ隼人ダメじゃん、そんな事したら」

Γわーってる」

Γ分かってないし。看護師さん困らすとかありえないし…」

Γえ、何?美月まで説教してんの?」

Γいや…じゃなくてね、ちゃんとしないと退院出来ない――…」


そこまで言ったあたしの腕を隼人は勢いよく引っ張り、その所為で言葉を遮られる。あたしの身体は前にのめり込むように倒れ込み、掴まれている手と反対側の手をベッドに付けた。


え…何?


目の前には隼人の顔がある。隼人はあたしの顔をジッと見つめ、


Γ美月が…来てくれて嬉しかった」


そう小さく隼人は呟き、あたしの身体を引き寄せた。また密着する隼人の体温があたしに伝わる。


Γえ、ちょ、どうしたの?急に…」


あたしの肩に顔を埋める隼人に戸惑って問い掛ける。


Γつか、来てくんねぇのかと思ったから…」


そう呟いた声は低く…さっきとは打って変わって淋しそうな声だった。

だけど隼人はすぐにあたしの身体を離して優しく笑みを漏らすと、


Γ明日、ちゃんと行けよ。学校…」


そう言ってあたしの頭をクシャッと撫でた。


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