その手に触れたくて
Γあ、うん…」
Γつかさ、もう終業式じゃねぇの?」
Γうん、だね」
Γあー…俺、年越しもここかよ」
隼人は苦笑い気味にそう呟き、ベッドに背を付け寝転んだ。
Γ大丈夫だよ。あたし来るから」
そう言ったあたしに隼人は薄ら笑う。
Γおぅ。悪りぃな…」
そう呟き隼人は右腕を額に乗せた。
時々、隼人は何かを思い詰めてるように沈んだ顔をする。隼人なりに明るく振る舞ってるんだと思うけど、時々ふとした時に沈んだ顔をする。
だから今だってそうなんだ。あたしにそう言う顔を見せないように、わざと額に腕を乗せて見せない様にしている。
そんな隼人にあたしは何も言えずにいた…
隅の方に折り畳んであるパイプ椅子を引っ張りだし、あたしはそれに腰掛ける。
目を瞑ってる隼人の左腕には点滴が取り付けてあり、袋からポタポタとチューブへと落ちていく透明の液をあたしはずっと見てた。
隼人…寝たのかな…
時間が過ぎると同時に隼人の動く気配すら無くなっていく。隼人の顔に自分の顔を近付けると、気持ちよさそうに眠っていた。
Γ疲れてんだね…」
そう呟きあたしはそっと隼人の身体に布団を掛けた。