その手に触れたくて

Γだ、大丈夫だよ。ほ、ほら2年に上がる時もちゃんと進級してるし補習で何とかなるよ…うん、うん、何とかなるなる」


夏美はフォローしたつもりか言い聞かせるように何度か頷いていた。

けど…本当に“留年”ありえるかも知れない。夏休みは隼人…ちゃんと補習に行ってたけど、今回は入院生活で行けないし…。


単位あるのかな…


Γねぇ、美月!!」


突然発した夏美の張り上げた声に思わず身体がビクッとし、あたしは我に返る。


Γ…どうしたの?」


振り返りながらそう問い掛けると夏美はニコッと口角を上げる。

そんな夏美に首を少し傾けると、


Γ明後日、終業式イブ」


そう言ってあたしの肩をポンと叩いた。


Γ…へ?」

Γだから明後日でもう終わりだよ?しかもクリスマスイブだし」

Γあぁ…そっか」


もう、そんな時期なんだ…。


Γねぇ美月!!明日、祝日だしちょっと付き合ってよ」

Γ…え?」

Γあ、もしかして何か予定でもあった?」

Γいや…ないけど。…行きたい所でもあるの?」


不思議そうに問い掛けるあたしに夏美はΓうん、うん」と言って何度か頷いた。


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