その手に触れたくて
Γ美月ー!!」
次の日、待ち合わせをしていた場所に向かうと先に来ていた夏美があたしに向かって大きく手を振った。
Γごめん、ごめん。待った?」
夏美に駆け寄ったあたしは息を切らせながら言う。
Γううん…全然」
夏美はニコッと笑いあたしの肩をポンっと軽く叩いた。
Γ行こっか」
そう言った夏美にコクンと頷き駅前のショッピングモールが並ぶ道筋を歩き、行き付けのネイルアートの店まで向かう。
祝日の今日は人が溢れるくらいいっぱいで、その人の多さに酔いそうになる。
と言うかただの休日だから人がいつもより多いんじゃない。街並みを見渡すと店のあらゆる所にキラキラとした星の飾り付けが異様に目立つ。
Γあぁ…そっか…」
あらゆる店のポスター、看板に“メリークリスマス”と書かれている文字に思わずあたしはポツリと呟く。
そう言えば夏美が言ってたよね。終業式イブって…
Γ美月、どうしたの?」
不意に聞こえた夏美の声にハッとし、あたしは夏美を見る。夏美は不思議そうに首を傾け、
Γ何かあった?ボーっとして」
そう言って言葉を続ける。
Γあ、ううん。何でもない」
Γそう…。中入ろ?」
そう言ってくる夏美から視線をずらすと、もうとっくに店に着いていて夏美は微笑みながらスタスタと足を進ませ店内に入る。