その手に触れたくて
はぁ…。ってあまりにも大きなママのため息が背後から聞こえた。
もういったい何?って感じのため息。
ママに言うとか言わないとかの問題じゃない。
ママに言ったってどーにもなんない。あのお兄ちゃんの事だから言ったって何にもなんない。
ママは優しいから…
部屋に入ってバタンってベッドに倒れこむと同時に壁に掛けている時計を見る。
もうすぐ7時になろうとしている。
学校…どうしよっか。あまりにも行く気にならないあたしは込み上げてくるため息とともに目を閉じた。
閉じて真っ黒の視界の中、ただ思い浮かぶのは凛さんが言ってた言葉。
“響の事、悪く思わないでね”
“響も分かってると思うから”
頭の中を遮る様に流れていくのはその言葉ばかり。
何をどうお兄ちゃんが分かっているのか分かんない。って言うかもう考えんのもめんどくさい。
別にお兄ちゃんが言ってる事を真に受ける必要は無い。あたしはあたしじゃん。隼人はお兄ちゃんの事、気にしてるけど全然関係ないじゃん。
もう一度、隼人に言ってみよ。
暫く経ってから風呂に入り身体を温めた。学校に行くか行かないか迷ったけど、結局あたしは3時間目が終わった頃に行った。