その手に触れたくて
学校に着いて向かった先は隼人の教室。
居るか確かめようとした時、
「美月!!」
弾けた声とともに現れたのは夏美だった。
「あ、おはよ…」
「つか、どした?なんか今日顔色悪い」
「あー…うん。ねぇ、隼人は?」
あたしはそう言って教室を見渡す。
「隼人なら来てないよ」
「え?来てないの?」
「うん。ってか何かあった?」
「ううん…」
「ううんって顔じゃないじゃん。もしかして響さんと揉めた?」
思わず視線を逸らしたあたしに、
「やっぱり…」
夏美の小さな声が漏れる。
「電話したら?」
そう言ってくる夏美に首を横に振る。
「何で?」
「電話じゃ話しづらい」
そう言ってすぐに鳴り響いたチャイムであたしは自分の教室へと向かう。自分の椅子に座り机に置いた鞄を抱える様にあたしは顔を伏せた。