その手に触れたくて
17
あの日を境に隼人は学校に来ることはなかった。
もう1週間は経つ。
電話しても出てくれない隼人に内心イライラしてた。
何してんのか、とか。何処行ってんのかとか、そんな事ばかり考えてた。
時にはもう、終わりにしょうか…なんて事も考えてみたけど、やっぱそんな事は出来ないと思った。
1日が凄く長く感じる。こんな長く思ったのは初めてなんじゃないかってくらいに長く感じる。
「疲れた…」
最近のあたしの口癖はいつもこれ。
学校が終わってから用もないのにブラブラと寄り道をして家に帰ろうと思った。
思ったんだけど、あたしの足は気づけば隼人の家に辿りついてた。
居るか居ないかなんてそんなの分かんない。
ホント言うと家に行くのは押し掛けるみたいで来たくはなかったんだけど、あまりにも隼人の事が気になり過ぎて来てしまった。
玄関の前に立ち軽く息を吐いてから、インターホンを軽く押す。
軽快になるチャイムの音に何だか胸がソワソワとし始めた。
数秒経って何の返答もなく、あたしは2回目のチャイムを鳴らす。
だけど1回目と同じくなんの返答も無い為、あたしは辺りを見渡した。
「…あっ、」
目に見えたのは隼人が乗っている自転車。その横に原付が目に入った。
「居ないのかな…」
自転車と原付はあるのに家からの応答はなにもない。
隼人の家の2階に視線を向けながら、あたしは鞄の中から携帯を取り出した。