その手に触れたくて
隼人の名前を呼びだしてコールする。
耳に当ててる手が異様に落ち着きがなく微かに震えてた。
3回、4回、5回と鳴り続けていく着信音にため息が漏れる。
だけどいくら経っても繋がらない携帯に顔を顰め、携帯を耳から離そうとした瞬間、プツン…と着信音が切れ、あたしは慌てて耳に強く押しあてた。
「…隼人!?」
そう叫んだのにも係わらず隼人からの応答は何もない。
「ねぇ、隼人!?」
「…づき…か?」
「隼人!?どーしたのっ!?」
途切れそうな小さな隼人の声にあたしは勢いよく声を上げる。
「…もしかして今、俺んちか?」
「そーだけどっ、」
そー言ってすぐプツンと電話が切れ、あたしは何が何だか分からないまま切れた携帯をジッと見つめた。
仕方なくもう一度掛け直そうとボタンに触れた時、ガチャン…とドアが開く音が聞こえあたしはすぐさま玄関に目を向けた。
と同時に目に飛び込むのは、会いたいと思ってた隼人の姿。
スエッとのままで息を切らし今にも倒れそうなその姿に、
「ちょ、隼人どーしたのっ!?」
手に持っていた携帯を無雑作に鞄の中に突っ込み、あたしは隼人に急いで駆け寄って身体を支えた。