その手に触れたくて
「え、マジ?」
後ろのテーブルを覗き込むように隼人はお粥を見つめる。
「何も食べてないんでしょ?本当はもっといいもの作ってあげたかったんだけど…」
「ううん。すっげぇ嬉しい」
隼人は笑みを作りベッドから身体を下ろす。
「大丈夫?」
「あぁ」
そう言った隼人はまだ激しく咳込んでて苦しそうだった。
「無理しなくていいよ」
「大丈夫。美月が来たから一瞬に回復した」
「してないじゃん咳してんのに」
「空耳」
「そんな訳ないじゃん。馬鹿」
「ちょっと着替える」
「うん」
笑いながら言った隼人に頷く。
隼人は新しい服を取り出して着替え、テーブルの前に腰を下ろす。お粥を口に運んでいく隼人の横であたしはその姿をボンヤリと眺めてた。
「うん、美味い」
そう言った隼人は時々むせ返り苦しそう。
だから聞きたかった。
その、原因を。