その手に触れたくて
「それがさ、認めて貰えた」
「えっ?」
続けられた言葉に思わず隼人に視線を向ける。
そんなあたしに隼人は口角を上げて、
「美月と付き合っていいってさ」
思いがけない隼人の言葉に、声さえ出すのを忘れてた。
ただただ見つめるあたしを隼人はフッと笑ってあたしの頭をクシャっと撫でる。
「隼人、何したの?」
「何もしてねーよ」
「でも、だってお兄ちゃんが認める訳ないじゃん」
「だから兄ちゃんを悪く言うなって」
「だって…」
小さく呟くあたしに隼人は小さく息を吐き捨てる。
「俺さ。正直、美月の兄ちゃんがあの響さんだって知った時、もう美月と居る事自体ダメだと思ってた。でも、その事で美月を諦めたくねぇと思う程、美月と離れたくなかった」
「……」
「まぁ、でも美月の事認めてくれたから俺は響さんを嫌いにはなれねぇ。けど、条件だされたけど」
「条件?」
「そう。喧嘩すんなってさ。周りに迷惑掛けんなってさ」
「……」
そう言って隼人は苦笑いをする。
「本当は、もっと美月に早く言いたかったけど、今まで仲間として喧嘩してきた奴らに抜けるって言ったりバタバタしてたから」
“ごめんな”
付け加えるその言葉に何だか申し訳ない変な感情が生まれた。
これって、あたしの所為?